能登半島地震をはじめ大規模な地震災害が全国で起きる中、ある企業が開発した意外な素材の「天井」が注目を集めています。被害を抑える効果があるということなのですが、一体、どんな天井なのでしょうか。
作業員の命を守る「膜天井」
岡山県津山市にあるトラクター部品などを製造する「すえ木工」。作業場の天井を見ると、テント素材でつくられています。
すえ木工 担当者:
「地震で落ちてきたときに、この膜天井であれば軽いので作業している方の命を守れると聞いたので採用しました」
製造しているテントメーカー「ファインアートかわばた」を訪ねると、運動会などで見かけるテントがありました。
ファインアートかわばた 牛垣 和弘社長:
「テントというか、膜材、紅白幕もつくっています」
ファインアートではテント倉庫や農業用の仕切りなど、創業以来、膜材を使った業務用の製品をつくってきました。7年前に商品化したのがテント生地を使った天井「MAKUTEN(マクテン)」です。今では工場や学校、オフィスなど大規模な施設を中心に、36カ所に導入されています。
特殊グラスファイバーシートを使用
使っているのは耐久性が高く、燃えにくい特殊グラスファイバーシートです。物が落ちてきても、1平方メートル当たり400キログラムの重さに耐えます。取り付けは、シートを巨大なバルーンで持ち上げます。そのため、足場を組むのは壁際だけ。部屋全体に足場が必要な一般的な天井に比べて工期は4分の1です。設置コストは半分程度です(1平方メートル当たり約2万円)。
ファインアートかわばた 牛垣 和弘社長:
「最大のメリットは、(地震で)落ちてきたとしても柔らかいから、人を傷つけることが少ないのです」
開発のきっかけは2011年の東日本大震災でした。国土交通省の発表では、約2000件の天井が崩落。それにより5人が死亡、70人以上が負傷しました。
一般的な天井は石こうボードでできています。それを吊り下げて設置しているため、地震で揺れると重さで落下する危険があります。
牛垣社長:
「一方、マクテンはトランポリンのように機械的に引っ張って、平行な天井をつくります。吊り材や金具など重たいものは一切使いません」
「吊る」のではなく、「張る」天井。そのカギを握るのが独自開発したテンション金具。壁の4面に取り付け、シートを巻き上げてピンと張る仕組みです。
天井裏にはなにもないので、万が一の場合も落ちるのはシートだけ。大きな面積でも1枚のシートでできる天井が実現。低コストで安全だとして注目を集めました。特に1月の能登半島地震を受け、問い合わせが急増しています。
さらに、マクテンを導入した「すえ木工」では空調効率が上昇したそう。
すえ木工 担当者:
「(マクテンを設置したことで)非常に冬も夏も、しっかり空調が効く空間になっています」
空調の必要な空間が狭まるため、マクテンを張った空間では空調効率が30%上がるというデータが出ています。こうした効果をPRしたところ、マクテンの売上げは急増。2025年度は今年度の4倍となる1億2000万円を見込んでいます。
日本経済新聞社 岡山支局 深野 尚孝支局長:
「防災に留まらず、省エネの強みを加えることで全く別の市場を切り開いています。断熱材を加える新たな商品開発も進めています」
ファインアートかわばた 牛垣社長:
「壁をつくって、天井をつくる。可能性はもっともっとあると思います」
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